満月と野分
背景は完全である
自然林のささやかな森
斎宮さんが待っている
待っている
どれだけ待っていたことか
井戸の跡
ひっそり並ぶ石組みの列
枯れた井戸の上に手を置きなさい
やってきたのは虹の光の同胞団
水の天使
そして古来のここの女神たち
瀬織津姫の雲
檜のお囃子
林の端に躍り出た
音の雫が零れ落ちる
朽ちた一株
紫水晶を中心に据えよ
伊勢外宮内 別宮 |
舞台の幕が上がる
四角と六角
四角と六角
アンデル十字は
貴人の蓋(絹笠)
見上げれば啓く
光に満ちたオーディエンス
嵐がくるよ
急ぐべし
いやいやそれは大切な大物役者である
雨粒が紫水晶を洗う
光の柱
光の千木
可愛いお社
夢の家
嵐を待ち構える
千木の十字
来た
千木の間に降り立つは
水の精霊
主たるあなたを待っていました
雨は天から
天には月が
今通る
虹の架け橋を連れている
遠い世界から弧を描く
いく筋もいく筋も
やがてみなが虹の中に入るだろう
ふんわりお社は夢の城
奏でた音の配列ののなかで
四隅に立つ虹の同胞
立ち上る霧のように
袖をが舞う
衣が舞う
円舞する
宴もたけなわ
白く光る羽衣
光るオーディエンスも
ますます高揚したことだろう
横に縦に
風の渦が
いっそう盛り上げ
神聖さを保ち
増す
胸の中であいさつすれば
すべては完全なるものだと
返してくる