2020-06-30

三日月の夜



三日月の夜

彼方にそびえる山の端に

沈む月の行方をながめる

金と銀と

去る人の面影は

時の遅きに果てる


時の狭間に落ち込んだ天使

人にも妖精にもなれない


爪を研ぐ嵐の終わりに

鳴き声だけが木霊して

夜明けを待つ








2020-06-25

りりの庭~疲れたエンジェル その3



決まっている?

わからんよーーいつものことながらだけど



りりがその丸い小さなクリスタル玉を手に取る


これはねーーーー

わーーーーい

きれいになっていくねーーー


ありゃほんとだ

りりの掌でその玉は透き通っていく


なにこれ?


りり様は おっほん!
「クリスタル」なのだからクリスタルの浄化ができるのだよ!おっほん!


はーそうでしたか

それでその玉は何もの?

これはね・・・・・

とある大物人物の頭の中にあったの

その人チャネリングヘタだよねーーーー

大物なのにねーーーー


で、乗っ取られたんだよ

へ?
誰に?


ふふ、低級霊

あーーーそうなんだ
確かにそういうことはあるね


うん、だからスティールは必死で抜き取ってきたんだね


そ、そのとおり!

むっくり起きたエンジェル、スティールが言う

僕の役割は完了したよ
だからほんの少しここにいてもいい?

ああ、それはかまわないよね、りりちゃん!


もちろんだよーーーーん

このクリスタル玉で何してあそぼーかな

遊ぶわけね・・・・




2020-06-24

りりの庭~疲れたエンジェル その2



ふわーっ

揺れる揺れる


身体が揺れる


ふらふら
ふわふわ


それで・・・・

いったいどうなってこう疲れた雰囲気になっているの?


りりちゃん

久しぶり!


うわーーーー、

ほんとね


小さいりりちゃんと
ちょっと大きいりりちゃんがいたっけな
遠くで少年つぶやく


ははは

そうです


場合によってどっちかが現れる


それで今は?


バシャバシャ池で遊んでいるからさ・・・

ふーん
小さい方か・・




疲れたエンジェルさん
お名前は?


スティール


ふーん

あ、だんだん青から緑
そして今は白っぽい

よしよし
順調に回復

さすが早いねー
エンジェル+オパール池


池のほとりの大きな木に座っている少年

離れたところからなんとなく眺めている

きれいな顔
エンジェルと同じくらい白い顔
彼は限りなく天使に近いらしい・・・

いつまでいてもいいと言ったらそれ以来ずっとそこに腰かけて景色を眺めている


エンジェルさん、スティールくん?

それでこれからどうするの?

さっきヘロヘロになっていたときに飛び出た玉を
預けます


そうだった
この玉なんだろうね

ミカエルが支えたとたんにエンジェルの中から飛び出した


透明できれいだけど何やら不浄さも感じたよ
掌に乗るくらい、そう目玉くらい?の大きさだ


りりちゃん、これどうする?

ほほっほーーーーーー決まってるよーーー





2020-06-23

りりの庭~疲れたエンジェル その1


あれは夏至の晩

誰のエンジェルかしら

真っ青な顔をしたエンジェル


くたびれたエンジェル


苦しそうなエンジェル


使い古しのリボンのように見返るの腕に掛かって

エンジェルなのに息も絶え絶え



ミカエルの腕に支えられて顔を上げる



そしてオパールの池に身体を浸す


ゆっくりよみがえる

疲れたエンジェル



2020-06-20

吉祥天にきいてみた


吉祥天にきいてみた

この巷はどうなっているの


ここは果たしてこの世の途中なの


さまざまな岐路の果て

どこに立つかはそれぞれ


ふと寂しい
そして悔しい

そうなったのもしかたがない






2020-06-06

白い大蛇の浄化

白い大蛇がお食事をする


このところしょっちゅうだ


ばくりばくり


ふん、まずい


まぁいいよ

もっとおくれ


わたしはせっせと扉に入れずにいる者らを投げ込む

白大蛇は薔薇の花よりも豪快に浄化する






密やかな満月


なにかに隠れて業を成す

信じられない世界の冥界


外に出ようとしてもそこからは出られませんよ


出口は内にあるのだから