2026-08-25

満月の鏡

 8月の満月


その者には秘密がある


人に聞かせてもなんだそんなこと

と思われるようなことなのだが


本人にとっては人生のすべてにそれが暗く照らしているのだ


試験に落ちた


それだけだった


実によくある話だ


それでもその者にとっては一大事

そんなことただの一度たりともは許されない

何年経っても

10年20年30年そして50年


還暦を過ぎてもまだまだ癒えない

その者の根拠のないプライドの瑕


そして適当な人間に向かって毒を吐き続けている


・・・

意外にもそんな人間は多い


顧みる勇気がない

認める潔さもない

だから失敗に対するリベンジを仕掛けようとしない


甘んじて50年

どんなに金持ちと一緒になろうと

子供が一度も試験に落ちたことがなくても

いやそれだけに彼女はかえってますます

誰にも知られたくない自身の能力のなさ

情けなさ

ひ弱さ

そして人を傷つけずにはいられない卑劣さが虫がわくように増殖し続け


月がそのすべてを映し出しその者の全身に押寄せる



それでもその者は悟る術もなくもがき苦しむ

周りは訝しげにただながめるだけ






2026-06-23

通過点

 

夏至のセレモニー


通過点


いつだって通過点


トンネルを潜るように感じたとき

トンネルの先の出口が光って見えるとき


ここだ


と思う


しかし

それは小さな通過点




小さき者よ

溺れそうな広い宇宙の波動の波間に浮く

さみしき者よ


眺めよと命じられた我は

ただ見つめているだけ







2026-05-19

反復の輪廻

 悔しいか

貶められて

悲しいか

小さき自分が



不義を働く者にその自覚はない


己の記憶と同じ記憶を焼き付けたいか

後悔させたいか



あやつはもう覚えていまい

あなたの言葉あなたの眼差しあなたの存在



思い出し

反省し

後悔し

詫びに来る


その者がこの世にいるうちにそうさせたいか


それは何という思いやりか

あなたは全身全霊をかけたお人好し




その者はそのまま捨て置きなさい



そうすれば

その者は再び生まれ出て

遙かなる広大な砂漠のように困難な道をあらためて生きることになるであろう


それが輪廻の法則


悟りや解脱に至る道