同じ「道徳経」でも人によって解釈がかなり違う。岩波文庫と講談社学術文庫を比べるとその相違の幅の広さに驚く。

以下の抜粋は、講談社発行版で、中国の研究者の著書を日本語訳したもの。
好きな方を読むべし。読み比べも面白い。古い書物で、解釈はもちろん、文字そのものにも論議はたくさんあるようだ。
私は”老子のおじちゃんがこんなん言ってるよ~”という程度で・・・・リラックスして入ってくる音を聴きます。
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道徳経
第一四章 形なき形
しっかりと見ないから、何も見えない。
それは形のないものと呼ばれる。
しっかりと聞かないから、何も聞こえない。
それは音がないものと呼ばれる。
しっかりとつかまないから、何もつかめない。
それは実体のないものと呼ばれる。
これら三つをつきつめることはできず、
混ざり合って一つになっている。
上にあっても明るくなく、
下にあっても暗くない。
目に見えず、どんな名前でも呼びようがない。
それはまた無にもどって行く。
それは形のない形と呼ばれ、
イメージのうかばない形と呼ばれる。
それはつかまえにくいものである。
近づいて行ってもその顔は見えず、
ついて行ってもその後ろ姿は見えない。
遠い過去の「道」をつかまえ、、
現在あるものを制御すると、
原始の始まりが理解できる。
これが「道」の本質である。
講談社学術文庫 張鍾元 著 ・上野浩道 訳
「老子の思想」ータオ・新しい思惟への道ー
より抜粋