それはそれは
不思議な朝でした・・・
すりガラスの向こうに透けて虹が見えたので
あっと思い窓を開ける
すると空き地の一か所から虹が始まっている出発地点のように見える
わーいと思って見つめるとすぐわきに白い円が立ち上がる
中を観ると妖精らしい姿・・・?
喜んで観ていると
何か言ってるみたいだが
よく見えない聴こえない
そして
近づいてきた
え?って思ったらだんだんでかい口で何か言ってるように見え始めた
むむ、「じ・し・ん・が・く・る・よ」って?
なんとそんなことを言っているような・・・口の形
いよいよアップになってくるとその妖精
おばさんともおじさんともいえる顔だ
あれれ~
おばさんでもおじさんでもいいけどね、もちろん
でもなんか違うねぇ
次の瞬間
ドカンッ!!
と大きなバスが到着
何だこれは!という間もなくぞろぞろ人らしき形が降りてくる
大挙して私が立ってる窓のほうへ向かってきた
ぎょぎょぎょ
やはり年寄でしかもしわがれた声もガヤガヤ聴こえる
色はなんというか、ねずみ色だな~
「まだ入れないの?」
と言ってきた
それだったのか!!言いたかったのは!
同時にちょっとたじろぐと
そのうちの一人が窓の外から中に手をつっこんできた
で
なぜだかな~
私はやかんを持っているんだよね~
これぞ私かもね~
水なのかお湯なのかわからないけど
ともかくやかんの口をその手に向かって傾けてみた
お湯か水かが注がれる
その腕は艶のないねずみ色
そして水の沁みが出来上がる
手はひっこめられた
でも次の手が
また
「もう入ってもいい?」と言いながら伸びてきた
その手は私の左手首付近に触れた
それをじっと観ると
私の手がすーっと透けていく
日に晒されたように眩しくなって
水のように揺らぎ
そこに虹がたわんで映っている
伸びた手は消えた
こんな群衆にはイエスさんを呼ぶと決まっておる
間髪入れずにミカエルも呼ぶ
あらゆる高次の存在を呼ぶ
それらはやってきた
雲のように私を囲む
細かい黒い点になった灰色の群れは
雲に触れると次々に火花のように光っては消えた
おー
りりちゃん出番だね!
そ、そうでしょ?!
もうひと踏ん張りしておこう
はーい!!オッケッケーー!
わたしね、バスの運転したい!
きたきた
りりちゃんの豪快発言
はいよ、わかった運転してね
たぶんあの人たちは長ーいながーい間あのままだったんだね
バスに乗っけてどうする?
ふふっ
決まってるよ、虹のアーチを渡るの
中をトンネルみたいに潜り抜けてもいいね!
ヤッホーッホー
行ってきまーす!!
♪運転手は君だ
車掌はいない♪
よろしく~
お、みんな静かにおとなしく座ってるじゃん
その調子その調子
あとはイエスさんに頼もうね
うん
そうしよう
それがいい