内観していくと、この二つは、ソウルとスピリットとなるかもしれない。その場合、分離はしても背反するものとするのはふさわしくない。どちらもその人のものだからである。
「~できるか」の自問ともいえる問いはすべて「できる」ということが老子の真理だろう。
そして瞑想によって、それらはどうも可能なようだ。人のこころ、意識とは何とも深淵で、神秘、宇宙である。
ブルネビラBulbinella |
第十章 心の二面性の統一
魂と魄を一つに統一し、離れないようにできるか。
呼吸を調和集中させ、嬰児のようにすることはできるか。
自分の中の曇った鏡をきれいにし、何もないようにすることはできるか。
人々を愛し、国を統治して、しかも知られずにいることはできるか。
無存在の領域に出入りし、行動を自分で起こすことはできるか。
明るい照明を知らなくても、あらゆる方面へ及ぼすことはできるか。
それを養い、育てよ。
生み出しても、それを所有するな。
はたらかせても、それにたよるな。
導いても、それを統御するな。
これは神秘の徳とよばれる。
講談社学術文庫 張鍾元 著・上野浩道 訳「老子の思想―タオ・新しい思惟への道―」より