翼のもがれた青年は二度と空を見まいと思う
翼のもがれた青年は地の底の川に浸ろうとする
乱気流に揉まれながら地の底に逝く
言わんとすることは唇を離れ空に取り残される
ただ一点を見据えて飛び込めば
そこは地の底でなく出口と知るだろう
点は
恐怖の中ならそれは白く見え
至福に満ちると黒く見える
急降下急上昇して飛び込み
中心をめざせ
眼をそらさずに凝視せよ
するとそれはやがて渦となって青年を受け入れるだろう
受け入れよ
それが道なり
不動の滝なり
次に眼前に迫るものを観よ
知らなかった別宇宙の広がりが
身を再び取り巻く
翼はあってないもの
なくてあるもの