2013-05-12

りりの庭~空豆の木 その3

あーあ

ラジオ分解なんてね
年バレバレだね

コンピューターも出始めからちゃんと使っているよ
コンピューターも分解したかったけどね

わたしは大人なのさ

へへへ~
りりはそれどころじゃない
一心不乱に
グリーンアイの男の子を修理してる

動かない腕のコードをつなぐ
いやいやこれは経絡か・・・

不思議な連動の世界
たちまちあちこちのツボが開く

りりちゃんが繋ぐと
いちいちピカッと小さな光が飛び出す

線香花火みたいだね~

うふふ
きれいだよね
部位によって色が違うの
面白いな~
わーい
わーい

できた~完成!
治った~うれぴぃー

グリーンの眼がきれいだね~
光ってきたよ

みるみる精気が流れる
周囲もうっすらグリーンのエネルギー

金色がかって
はじける

ふーん




どうしてここにいるのさ?

なんでやってきたの?

眼が見開かれ

じっと見る・・・
何を?
焦点はやっぱあってないみたいだねぇ

ここは僕のいるところじゃない・・・

はい?
だからどこから来たのか聞いてんじゃない?

なんかイラつくかも・・・?

なんでかな~

私の庭でなにしてんの?

何も・・何もしてないよ
迷ったの

たぶんね・・・

まぎれてしまった
探し物してたのに・・・

ふーん
何探してたのさ?

うん
お母さん・・

へーここはお母さんとはちょっと違うかもね
迷ったなら出口を教えてあげるよ


りりちゃん?

あいよ!
簡単だよ
君と近しい星の使者がいるよ

え?
なんてすって?りりちゃん?
ほ、星の使者?

うん、金星からね

へー知らなかったよ
この子金星から来たの?

その瞬間ズバッとあたりが暗くなった
デカいコウモリのような翼が天を覆う

やけに暗いね
なんでだろ
でもあんまり怖い感じじゃないね

そうかと思うとそのコウモリ男
なんだかお爺さん風だな
険しいような柔和なような
なんともいえない表情

グリーンの眼の男子はされるがまま
腰のあたりを後ろから鷲掴みにされて宙吊り状態

ひゃっほー!じゃあねー!
元気でね~!

りりは手を振って見送る
わたしは茫然と見送る

今度はこの爺さんどっから現れたのか・・・?
ううーん・・・
疑問の多い話が続くわね

知ってるなら教えてよ
りりちゃん

知ってるでしょ?
あのグリーンアイの男の子は
お父さんよ

ええ~そーなの?

正確にはお父さんの一部かな

お父さんが
ずっと自分のお母さんを探しているのを
知ってたでしょ?
子供のときから
うふふ~
ラジオを分解するよりももっと前だよん!


そういえば・・・・

まだ生まれたころに近い記憶・・・

・・・縁側にすわっていた
父親の膝の上で
日向ぼっこしてた

その時背中から入ってきたんだね
あの男の子

ずっと埋もれていた
父親も覚えているはずもない
娘を抱っこして母親のことを考えていたなんてね

そ、それで
あの爺さんは?
私のお爺さんとか?
いや、ち、違うね?!

うふーうふー
また今度ね~

といいながら

グリーンアイ男子(父親?!)の持っていた空豆みたいな種を
本当に植え始める

るるるん
るるん

りりちゃんは絶好調・・・

はーいお水をあげましょー
いい芽が出るよ~