2012-07-04

シュールな月



シュールな月に挨拶するとき

碧い影と漂う雲
いつか見た記憶の夜空と重ねてみたら
どこにでも移動できる

さんざん嘆きの声を聴き
音楽の調べに混ぜてみたら
現代の人達は泣いてしまうかもしれない

違う星から来た人は奇異に思うだろうか
滝つぼに落ちるように叫ぶ人間の姿

搾り取られてもまだ息をしていると
いっそうの苦渋を要求していると勘違いされる

とんだ滑稽なお化け屋敷のように
窓ガラスに手をついて眺めるのは誰だ

いささかの同情さえそこにはなく
自分より先に誰かを殺そうとする

山羊の盲目こそ天の幸い
優しい眼差しは疑問の罵声を誘う

それもこれも
ただひたすら恐怖を隠そうとしているだけ
という茶番劇に真剣に立ち向かう

妖気に満ちた夜のお出まし
暗くしっとり

ほんの少し月が隠れた隙間をぬっての出来事だった