校舎の廊下、階段、窓ガラス
懐かしい街角のように漂っている
誰もいない日曜日
君の後ろ姿が現れる
幻と現実の
重なり合った
大切な瞬間
約束らしくない約束は偶然のさなか
自分の思いと
君の認識が一致していると信じてみる
胸の高鳴りと熱
白い頬に通り過ぎる風はどこまでも透きとおって
髪に促されてすれ違う
暗くなった校舎の角
いくつもの鞄のすり傷
隊をなして怒涛のように走り抜けた白いシャツたち
金の鳩が舞い降りて渡り廊下に降り注ぐものとは
いつか来た君のロッカー
毎日君の手がそれを開き一日の思いを詰め込む
幼さの残るバラ色の頬
どこまでも朝を呼び
そのままとどまっていてほしかった
待っていてほしかった
同じ場所にいたかった
過去形の現実が冷淡に並び
ただ現実の意味付けをしている
君の歩んだ動線を漠然と追う
3月が来た
舞い降りた鳩は青白かった
ただ凛として光の中にたたずむ