2016-01-28

再び観音の手


真冬の中に春を見つける

それは香り

私の鼻は未来を嗅ぎ分ける


日の光に彩られて

まざまざとのぞかせる

その世界とは


真なることは一瞬で起こる

けれどそれにすべての者が気づくことはない


さらなる光の一片が到来する

すると

煙の中に浮かんでは消える未来図に愕然とする


知っていたのに知らなかった

知るよしもないのに知っていた


泰然と広がる世界の境界線を見渡せるわけもない


掴んだと確信したはずの香りを再び忘れ去るのもまた一瞬


さざ波のように繰り返しているようでいて


すべてが白日のもとにさらされる日は近い



総ては御手の中