2012-06-21
侵入者
そこは何事もないかのように思えた
静かな野原
しゃがみこんで遊ぶ少女
さわやかな風
流れる緑の草
ふんわりした少女のドレス
野に映えて
空を降ろし
やさしい水色を放つ
後ろ姿はいつものとおりのようだった
「ねぇ、何しているの?」
少女「・・・・」
小さな背中が軽くこちらに傾いた
「どうしたの?」
少女「うーん・・・」
風景はいつものように妖精の住処のように芳しい
しかし明らかに曇った少女の表情
「なんか変なの?」
ーソロモンー
瞬間
さらりとと聴こえた
「じゃあ、ソロモンのレイアウトに入る?」
そうして私は少女を素早くソロモンレイアウトに入れる
それは魔法の星
クリスタルの技
優しいクリスタルが少女を囲む
**
次の瞬間
鉛筆のような男の子が出現した
アオカビのように濁った身体
しなびた顔
つらそうな眼差し
「どうしたの?あなたは誰?」
応えずただ縮こまったしぐさ
耐えられない苦痛
声も出ず表現もできない
おお、なんという痛ましさ
封じ込められた堅い緑
「あなたが私でないならここから立ち去ってください。」
縮こまった鉛筆のような少年はくすんだ顔のまま離れていく
おお、どこに行くのだろう
地球の中に入れても清められない
宇宙に上げてもそこに浮いたまま
「元にいたところに一度お帰りなさい」
そこはたくさんのアオカビにまみれた楔が集まっているところであった
いつか天使が解いてくれますように
固まった楔もやがてクリスタルになり
光にもどるでしょう
きっと・・・
**
ふと気がつくといつものガーデンの中
風はいつものように静止したように穏やか
少女よ、どこにいるのか?
「大丈夫?どうしたい?」
少女「うん、あのね虹のお水に足をつけて遊びたいの。いっしょにきて。」
ああ、そこに居るのはいつものとびきり明るい少女の笑顔
そして声
「いいよ。行こう。」
美しい虹の橋の上に座り
足を虹の水に浸す
池のように泉のようにその水は七色に揺れた
今の出来事をきれいにしてもらいましょうね
わたしは少女のために祈った
大天使ミカエル
そして
大天使ルシフェル
どうぞこの小さなガーデンに来てください
***
さらに次の瞬間
わたしの右横にミカエルが立つ
そして少女の横にルシフェルが立つ
黒い美しい馬
黒い美しいルシフェルが虹のそばでドレスをまくり素足を水につっこんでいる少女をみつめる
少女「わーい、ルシフェルだー、ねぇねぇその馬に乗っけて!いいでしょ?」
少女は馬にまたがりはしゃぎまわる・・
はしゃぎまわる・・
おおはしゃぎである
「わぉ、ごめんなさいね、ルシフェル・・・ちょっと相手をしてあげてくれる?」
天使はただ相手をしてくれた
懲りずにまた来ておくれ
安堵したわたしがこっそり願う