2014-01-29

「それから」


「もらおうと思ってももらえないからもらわないのです。」(代助のせりふ) 

                     夏目漱石「それから」(1909)より





百合の花の香りにのせてそれはやってくる

深く深く

沈めたはずの記憶の一部始終が

芳しい白い墓標のように

眼前に現れて眼をそむけることができなくなる

抗えない

墓標の文字が浮き上がり

漂いながら夢を見るように

声を聞く

眼を見る

そして香る

百合の花の清楚さと残酷さ