お湯の沸く音がする
眠っていまいそうな午後の微睡が観える
寒い冬の木枯らし
屋根を滑りぬけてゆく
凍えた風
部屋のストーブは暖かい
石油の匂い
赤々と燃えて
熱いストーブの上に乗ったやかん
蒸気はぐつぐつと煮え立った湯煙
立ち上ってはどこかに行ってしまう
そんないつもの光景のなかに
安堵が揺れる
はたまた
熱を出し床(とこ)に伏せった夕方
台所の入口が観える
耳を澄ましていると
母が何かをこさえているのだ
ただただ夕方のおさんどん
鍋の蓋をあけると
沸騰した湯の音
野菜を煮立てる音
皿に盛ったものを見れば明日が見える
ストーブの上のやかん
煮立つ鍋