風に吹かれてそよぐ真夜中の木々
木々が歌っている
それは雑踏の中の人間の言霊
後悔
希望
願望
それらは掻き消され霧散する
響きは悲しい水になる
土になる
地球はこうしてできている
おじさんの額にほ、☆、星がーーーーー☆
それでこのおじさん美しく見えるとか?
さぁな ふん
たったちゃんは興味なさそうな反応・・・
そいつはここに迷い込んだのか?
迷い・・・?
そんなことがあるんかい???
ここはりりちゃんの庭だぞ~
入り口がわかるとも思えず・・・
ちょっと休みたかったりする子を留めおいてみたことはあるけどね・・・・
へ?それ僕?
とちょっと反応してみせたのは少年のような青年のような木の根元で休んでいる子
確かにこの子にはいつまで居てもいいよ、とは言ってあるけどね・・・・
こ、このおじさんのことはりりは知らないよ!
それにしても美しい寝顔・・・・
ほわーとして眺めてみているものの
この先どうしたものか・・・
りりばあちゃんに訊いてみるよ・・・
ほいな!
呼んだかい?
思っただけで瞬間的にボーンと現れたのはりりばあちゃん
長い白髪頭を振り乱して
まるでほうきに乗って現れる魔法使いみたいだ・・・
でも違うよ
違うってば
たったちゃん
たったちゃん!
ねぇ
それであの美しいおじさんと森に行ってどうなったの?
ふふん
レインボーに耀くグリーンドラゴンのたったちゃんはいつもどおり
そっけない
でも大きな目をギョロギョロさせながらその質問にはまんざらでもなさそう
ねぇってば
お話してよ
りりがしつこくしつこく尋ねる
のらくらギョロギョロ目玉のたったちゃんが大きな身体をくねらせながら
オパールの池に帰ろうかどうしようか考えている
迷っているならお話しましょ
ね
たったちゃん
そうさなそれもいいかもな
ふん
なんと言うことはない
そいつは
そいつとは美しいおじさんのこと
おじさん疲れたのか高いびきで苔をベッド代わりにしてぐっすり眠っている
おや
眠っていても美しいおじさんのままだ
なんだろうねぇ
おじさんなのは確かなのにねぇ綺麗だねぇ
額も頬もキラキラしている
たったちゃんはおじさんとお友達になったの?
ふん
おいらに友達なんてものはいやしないよ
そいつはなんだかんだいってもふわっとしてするっとしてるんだよ
なにそれ
ふわっとしてするっとしてるって?
ほれ見てみろあいつの額の星を
星?
☆があるの?
そう言われてりりは猛スピードで眠っているおじさんのところに駆け寄る
そしてそーーっと
額を覗き込む
うわーーーーーーいホントだーーーーー
おじさんの額にきれいな☆があるよ!!
新しい住人とは
新たな次元に住む人々のこと
綺麗な空と
土の感触
私は今もここにいると源から響く
声が届くのはわずかなり
泣きたいのはそのためだ
悲しいのはあなたがたのこと
静寂は嫌いですか
五次元どころか二次元に落ちようとする人々よ
子供らのために深呼吸しておくれ
クリスタルが騒がしくなってきた
一時的におとなしかっただけだったようだ
何が来るのか
何が去るのか
空からか
海からか
地底からか
静かに心を落ち着けよ
自意識ではどうにもならない
天に任せるとはこのことか
心を静かに
瞑想の準備をしよう
祈りが自らの中心に灯るよう
天に任せるとはいかなることか
悟るときがきた
zzzz
ナメクジのように縮こまったグリーンレインボー色のたったちゃん
まるで冬眠しているかのよう
何事もない平和なオパール色の池の底
適度に暖かく
柔らかな水
と
そこへ
進撃するかのように真っ逆さまにに水底目指して泳いでくる
少し長めの黒髪が水に揺れる
白い肌と長い睫毛の黒い瞳
やや
ぬくぬくしていたたったちゃんも自分が龍だと思い出す
瞬間
池の底が大きくかき回され太い龍の尾が旋回する
驚いたのは美しいおじさんだ
逃げようにももう遅い
びっくり仰天のおじさんは慌てて水面をめざす
そこへ一瞬でたったちゃんのレインボーグリーンの鱗に包まれた頭が追いつく
おじさんはそのままたったちゃんのゴツゴツ頭の上に乗せられた
叫ぶ間もなくものすごい勢いで水面を突き抜けた
猛スピードで池の上に現れた美しいおじさんの黒髪はざっぷり顔全体を覆った
オパール色に輝く水はおじさんとたったちゃんの鱗を滝のように流れ落ちる
きゃーーーー久しぶり!!
元気にしてた?たったちゃん!!
りりが大喜びで飛び上がってはしゃぐ
おうさ
せっかく安眠していたのにこやつに起こされたぞ
えへへそのおじさんは新しい住人だよ
森に入りたいみたいだからさ
まずたったちゃんにも会わなくちゃね
おうそうか
ふん
と巨大な眼をギョロギョロさせながら快く(おそらく)返事をする
美しいおじさんは髪から服からキラキラ水で一層美しくキラキラしながら
ただただ呆然とするばかり
おじさん!
これからなんかあったらあたしやこのたったちゃんを呼んでね
他にも紹介したいけどとりあえずね
へ? ほ、他にも?
やけにキラキラ美しすぎるおじさんの固まった表情がさらなる驚きにゆがむ
美しいおじさんは池をじっと見つめる
オパール色は乳白色の中できらめく
手を差しいれる
池はおじさんの片手の周りに波紋を浮かべる
身体ごと全部浸かっていいんだよーーおじさん!
とその勢いで美しいおじさんの背中をぽんと叩いた
さほど強い力でもないのに美しいおじさんは
池の中にいとも簡単に・・・落ちた・・・・
あ~りりちゃん謝ってね
えへへへ いつもどおりいたずらっぽく笑うりり
この池はおじさんに必要みたいだね
おじさんふんわり浮いたように落ちていったよ
おじさーーーーん
そのまま好きなだけそこで遊泳していいんだよん
いいもの見つけてね~
美しいおじさんははじめ驚いたように眼をまるくしていたが
すぐにりりの声を聴き取って冷静さを取り戻した
そしてりりのいうとおり池の探索を始めた
おじさんがゆったり泳ぐ
逆さになって深みをめざし
そして浮き上がる
くりかえしながらじきに慣れていったようだ
オパール色の池は美しいおじさんの遊泳を歓迎するように揺らめく
ーーー
あ、そういえば底にたったちゃんいたよね!?
※注 たったちゃんは池の底に住むグリーンドラゴンです
おてんばりりが突き進む
その先には新しい住人の横顔が
おおお
美しいーー
観たことのないその横顔ーこの世のものだろうか・・・・
どうしてまたここ(庭)へ・・・?
迷い込んだのかしらん?
お構いなく近づくりり
ふとそれに気づく美しい新しい住人
静かに微笑みを浮かべた・・・・のか?
あれま、りりの存在にはほぼほぼ抵抗なしのようだ
あのりりが何を言い出すか気が気でないのに
質問1
どっから来たの?
質問2
どうして来たの?
質問3
これからどうするの?
これは定番なのだが・・・・
ねえねえおじさん!!!!
ーーあ、美しい人におじさんとな?!
あのねあっちの森に行くにはね
まずこのオパールの池に入るんだよ
ここはきれいな乳白色がオパール色に輝く温泉のような池なんだ
得意げに説明するりり
美しい”おじさん”はへえそうなんだという顔つきをして池の中を覗き込む
美しい顔が映るとおじさんは飽き飽きしたものを観たように唇をムの字に結んだ
長めの前髪がゆったりと揺れているその中にこれまた長い睫毛が時折見え隠れしている
池に入るつもりだろうか・・・・?
無表情が得意な若きりりの姿は
ふんわりやさしげに風に吹かれるドレス
薄水色のオーガンジー
ふとオパールの池に翳して観る
未来が観たいとか?観えたかしら・・・?
ぽんっ!
そこに現れた老婆の姿のりり
おや、わたしをお呼びかい??
あーーーーー未来が実体となって目の前に
若きりりの無表情にしょっぱい表情がプラス
うら若きりりよ
それで何で池を覗く気になったの?
だってあそこに座っている方があまりにキラキラしているから
もしかしてベールを被っているのかと思って池に映る姿を観ればわかるから・・・
そうだわね
で どうだった?ちょっと身を乗り出してたずねてみる
うーん キラキラは消えてたけど・・・
とっても柔らかいグリーンブルーの風を纏ってたわ
それと時々レモンイエローが混ざるの
へー
とそんな話をしている隙にチャイルドりりが興味津々に近づいていく
あーもう止められない
※注 りりにはチャイルドりり・乙女りり・老婆りり がおります。久々の更新なので補足しました。詳しくは前作をご覧ください。
りりちゃん起きてる?
な~~に?
半眼のりりがこちらを向く
久しぶりのような
日常のような
新しい住人が来てからは久しい
そう新しい住人
それはこれまで木陰で膝を抱えるようにして静かに座っていた青年から少し離れた
もうそこは森の入り口付近
木漏れ日にキラキラ光るその人物は・・・
いや人ではないのかもしれないと思わせるほどの輝きを放つ
青年とはいえぬ堂々たる大人・・のはずなのにどこが幼い仕草が残っている
森の入り口に陣取りあっちこっちを見渡している
オパールの池にも興味があるのか美しい瞳が好奇心でより輝く
それでも勝手に入れないと大人の自制心も働いているようだ
りりちゃん この方どちらさん?
え?
知らない?
いやいや知っているのでしょう?
そこはりりちゃんの得意なところでしょう?
へへへまだ内緒なの
ぺろっと舌をだすりりちゃんなのであった
またもややってきた
光の洗礼が
遠い昔のあなたの偽りの言葉が
忘れたはずの悪戯が
他者を貶めんとする策略が
それによって招いた結果に
あらためて七色の光が注がれる
そうして観るがよい
本当の自身の姿を
もう取り戻すことができない過去の汚点を
その積み重なった土に立っている自分を