過去にまつわる記憶のいくつか
*
産まれてまだ歩くこともほとんどできなかった頃
父の膝にいて縁側で日向ぼっこ
庭の垣根、といっても貧しい貸家
当時はまだ土地に余裕があったのか平屋の貸家にも庭がある
洗濯干しもしなきゃならんし、
枯れた井戸の存在はもっと前は水道なんてものはなかったということを物語っている
*
光の玉が大きく小さく土と垣根と空の間を行き来していた
ひとり縁側に座らされたとき
私の脳裏に浮かんだのはこのまま中心に向かって視線をあてたらどうなるのか・・・
そんなことを感覚で思いついたのだった
現実の記憶として非常に鮮明に残っているこの手法
何かが水面に落ちたときの円の広がりを逆行するように
中心に向かう
すると
太陽を直接見たかのような眩しさ
放射状に光るもの
白く黄色く
このまま進むとマズイ
恐怖に似た感覚が起こった
ストップ
これは今見てはいけない
もう見てはいけない
忘れよう
そして忘れられない光になった
http://lilian-sound.blogspot.jp/2012/02/blog-post_14.html