女優メリル・ストリープが、イギリスのおそらく北方だろうと思われる海岸に立っている
海岸といっても砂浜でなく隆起した平らかな台地
やわらかな緑に包まれている
陽射しを浴びながら未来の希望を語る
第2次世界大戦が終結したあと女性の自由獲得が実現すると胸ふくらませているのだ
世界は変わると・・・・
(映画「プレンティ」の1シーン)
実際は絶望の淵に立ち抑うつ状態の生活が永遠と続くのだが
*
この景色
私にも覚えがある
その後似た風景を見ると懐かしさが湧く
そして
あるソウルファミリーと出会うと一層その記憶が強く甦ることになった
私は修道女
イングランドかスコットランドのはずれの海岸
古い修道院
ケルトの文化の風も吹くところ
石の彫刻
十字架
ソウルファミリーはそのときは子供
そして向かい合って手を繋ぎ笑い合っている
その子は修道院で生活している子供の一人
私は当たり前のようにその子たちと過ごしている
*
私は一人になると
その海を眺めながら
いつまでも立ちつくす
何かが終わったのだ
というような感覚
なにか清々しいけれどもの悲しくもあり
そして私は悟りの境地になったのだ
眼の奥に光が鮮烈に感じられ
オーロラのように踊るのだ
記憶はそこで途切れる
*
ある日ソウルファミリーのひとりが個展を開いた
行くと壁に飾られた緑の風景画に目がとまった
吸い込まれるように見入る
そこは紛れもなくあの風景
静かな海岸線の一端
小花が咲き陽射しを浴びて光っている
ここはイギリスの北の方でしょう?
そう
〇〇〇島だよ
そう〇〇〇島だったのか
今この絵は私の家の壁にある