金縛りだわ!
まったく!
なんでこうなるの~?
迷惑なのでは?
ぞろぞろと
なんだか妙だし
怖いし・・・
身分の高そうな人たちの大行列
大名ではなく
そそとした煌びやかな衣装
雅なお嬢様方の行列だわ
なにやら冠りものして
着物は平安朝の装束
旅姿
髪は長く垂らしていて額が見える
皆様楽しいというより
厳か
そして少し寂しく
少し悲しく
少し孤独
これからの境遇とは?
―私 行かなくてもいいんじゃない?
するとお嬢様方はにわかに
やんややんやのざわめき
そんな~がっかりだわ
おお、うそでしょー!
現代語だと
マジ?!
みたいな反応
でしかたなく
行くよ行くってば・・・いえ行かせていただきます!
だって怖い感じなんですもん
***
りりちゃん、これどう思う?
ん・・・・?
りりちゃん!いる?
庭を見渡してみる
姿が・・・ない?
そ、そんな!!
さっきの雅な方々の関係でりりの姿が消えた?
そういえば
この間りりが植えてた虹の球根は
庭の球根どうなったろう?
よく見ると土が渦巻きになっている
りりが取り込まれている・・・
底なしの沼のよう
おお、どうしましょ!?
あれれ?!
しばらく呆然としていると
りりがそのままびよーんと沈んで
伸びて伸びて
虹も
いっしょに伸びて伸びて
垂直に下がったかと思ったら
ひょいっと一回転して円になって正面に戻ってきた
はぁ
虹の大車輪ですな
へへ~おもしろいでしょう!!
と得意満面なりり
なんてことはない
何でもへっちゃらのりりちゃんでした
***
虹の大車輪はそのまま天の女神さまを連れてきた
そして私の右に立つ吉祥天さん
ややっ
そこから分裂して何かがらせん状に降りてきた
そして左に立つのは
男性のようなかっこいい女性の姿だけど
甲冑でもきているような
何とも凛々しいスレンダーなお方
お使いにしてはかっこよすぎない?
そして交通整理?
そう、あっという間に
雅な方々を整理整頓して
ここまで下がっててねというように
私の左に寄せてくれた
これなら怖くないでしょ?
みんな「観客」だからね
今度のことはよろしくね
雅な方々も素直に従ってくれている
おお、彼女らはオーディエンスだったのね!
では次なる舞台の準備に取りかかるとしょう