2012-09-19

りりの庭 その3~雅な女性


金縛りだわ!
まったく!

なんでこうなるの~?
迷惑なのでは?

ぞろぞろと
なんだか妙だし
怖いし・・・

身分の高そうな人たちの大行列
大名ではなく
そそとした煌びやかな衣装
雅なお嬢様方の行列だわ

なにやら冠りものして
着物は平安朝の装束
旅姿

髪は長く垂らしていて額が見える
皆様楽しいというより
厳か
そして少し寂しく
少し悲しく
少し孤独

これからの境遇とは?

―私 行かなくてもいいんじゃない?

するとお嬢様方はにわかに
やんややんやのざわめき

そんな~がっかりだわ
おお、うそでしょー!

現代語だと
マジ?!

みたいな反応

でしかたなく
行くよ行くってば・・・いえ行かせていただきます!

だって怖い感じなんですもん

***

りりちゃん、これどう思う?

ん・・・・?

りりちゃん!いる?

庭を見渡してみる
姿が・・・ない?

そ、そんな!!
さっきの雅な方々の関係でりりの姿が消えた?


そういえば
この間りりが植えてた虹の球根は
庭の球根どうなったろう?

よく見ると土が渦巻きになっている
りりが取り込まれている・・・
底なしの沼のよう

おお、どうしましょ!?

あれれ?!

しばらく呆然としていると

りりがそのままびよーんと沈んで
伸びて伸びて

虹も
いっしょに伸びて伸びて

垂直に下がったかと思ったら
ひょいっと一回転して円になって正面に戻ってきた

はぁ 
虹の大車輪ですな

へへ~おもしろいでしょう!!
と得意満面なりり

なんてことはない
何でもへっちゃらのりりちゃんでした

***

虹の大車輪はそのまま天の女神さまを連れてきた

そして私の右に立つ吉祥天さん

ややっ
そこから分裂して何かがらせん状に降りてきた
そして左に立つのは
男性のようなかっこいい女性の姿だけど
甲冑でもきているような
何とも凛々しいスレンダーなお方
お使いにしてはかっこよすぎない?

そして交通整理?

そう、あっという間に
雅な方々を整理整頓して

ここまで下がっててねというように
私の左に寄せてくれた

これなら怖くないでしょ?
みんな「観客」だからね
今度のことはよろしくね

雅な方々も素直に従ってくれている

おお、彼女らはオーディエンスだったのね!

では次なる舞台の準備に取りかかるとしょう