2025-06-30

真夜中の木の歌声

 風に吹かれてそよぐ真夜中の木々


木々が歌っている

それは雑踏の中の人間の言霊


後悔

希望

願望


それらは掻き消され霧散する

響きは悲しい水になる

土になる


地球はこうしてできている








2025-06-29

三日月の晩に

 

三日月の晩に


真夏の静けさに出会う


百鬼夜行もこの晩は静かだ

むしろ静かすぎる


路地に腰を下ろしたのは

火事場にいた餓鬼の忘れ物か


生暖かく夜霧のような湿気が見えずとも漂うこの晩に


ほどけるものは解いておこうぞ








2025-06-15

遠い近い

 

悲しいかな

すぐそこにあるように見えるのに


寂しいかな

星の彼方のような空間



次元の違いは近いようで遠く

遠いようで近い








りりの庭~美しいおじさん その2

 おじさんの額にほ、☆、星がーーーーー☆


それでこのおじさん美しく見えるとか?


さぁな ふん

たったちゃんは興味なさそうな反応・・・


そいつはここに迷い込んだのか?


迷い・・・?

そんなことがあるんかい???


ここはりりちゃんの庭だぞ~

入り口がわかるとも思えず・・・

ちょっと休みたかったりする子を留めおいてみたことはあるけどね・・・・


へ?それ僕?

とちょっと反応してみせたのは少年のような青年のような木の根元で休んでいる子

確かにこの子にはいつまで居てもいいよ、とは言ってあるけどね・・・・


こ、このおじさんのことはりりは知らないよ!

それにしても美しい寝顔・・・・


ほわーとして眺めてみているものの

この先どうしたものか・・・


りりばあちゃんに訊いてみるよ・・・


ほいな!

呼んだかい?


思っただけで瞬間的にボーンと現れたのはりりばあちゃん

長い白髪頭を振り乱して

まるでほうきに乗って現れる魔法使いみたいだ・・・


でも違うよ

違うってば