2025-06-30

真夜中の木の歌声

 風に吹かれてそよぐ真夜中の木々


木々が歌っている

それは雑踏の中の人間の言霊


後悔

希望

願望


それらは掻き消され霧散する

響きは悲しい水になる

土になる


地球はこうしてできている








2025-06-29

三日月の晩に

 

三日月の晩に


真夏の静けさに出会う


百鬼夜行もこの晩は静かだ

むしろ静かすぎる


路地に腰を下ろしたのは

火事場にいた餓鬼の忘れ物か


生暖かく夜霧のような湿気が見えずとも漂うこの晩に


ほどけるものは解いておこうぞ








2025-06-15

遠い近い

 

悲しいかな

すぐそこにあるように見えるのに


寂しいかな

星の彼方のような空間



次元の違いは近いようで遠く

遠いようで近い