風に吹かれてそよぐ真夜中の木々
木々が歌っている
それは雑踏の中の人間の言霊
後悔
希望
願望
それらは掻き消され霧散する
響きは悲しい水になる
土になる
地球はこうしてできている
三日月の晩に
真夏の静けさに出会う
百鬼夜行もこの晩は静かだ
むしろ静かすぎる
路地に腰を下ろしたのは
火事場にいた餓鬼の忘れ物か
生暖かく夜霧のような湿気が見えずとも漂うこの晩に
ほどけるものは解いておこうぞ
悲しいかな
すぐそこにあるように見えるのに
寂しいかな
星の彼方のような空間
次元の違いは近いようで遠く
遠いようで近い